抄読会2014年度 season 3

2014年12月26日 担当 佐藤(友)
Anesthesiology 2014; 121:1248-57
Sodium Thiosulfate Attenuates Acute Lung
Injury in Mice

Masahiro Sakaguchi, M.D., Ph.D., Eizo Marutani,M.D., 
Hae-sook Shin, Ph.D., Wei Chen, Ph.D., Kenjiro Hanaoka, Ph.D., Ming Xian,Ph.D., Fumito Ichinose, M.D., Ph.D.

ALIにおけるチオ硫酸ナトリウム(STS)の効果は不明であるため、マウスを用いて急性炎症時の肺および血管内皮細胞でSTSの効果を評価したところ、STSはマウスの肺と血管において強力な抗炎症作用を発揮した。ALIに対してSTSは治療効果がある可能性が高い

2014年12月18日 担当 花山
J Intensive Care Med. 2014 Jun 10.
Evaluation of the Clinical Utility
of Routine Daily Chest Radiography in Intensive Care Unit Patients With TracheostomyTubes: A Retrospective Review.

Cruz J, Ferra M, Kasarabada A, Gasperino J, Zigmund B

ICUにいる気切患者に対するルーチンな胸部レントゲン撮影の有効性は皆無であり、患者の臨床状態によって適応を選択していくべきである。



2014年12月16日 担当 箱﨑
J Intensive Care Med. 2014 Oct 27.
A Review of Multifaceted Care Approaches for the Prevention and Mitigation of Delirium in Intensive Care Units.
Collinsworth AW, Priest EL, Campbell CR, Vasilevskis EE, Masica AL. 

多面的ケアアプローチはせん妄を減少させ、患者予後を改善させるかもしれない、しかし、鎮静薬不使用や、SBT、せん妄の看視と治療、早期リハビリといった包括的なケアバンドルを展開することがより改善効果を持つかもしれない。この知識のギャップに対処するためのさらなる研究がicu患者に最良のケアを提供するために不可欠である。



2014年12月 担当 大石
JAMA 2014 Nov 15
Perioperative Aspirin and Clonidine and Risk of Acute Kidney Injury
A Randomized Clinical Trial

Garg AX, et al. 

非心臓手術を受けた患者において、周術期のアスピリンもクロニジンもAKI危険性を減らさなかった。



2014年12月4日 担当 佐藤(友)
Anesthesiology, V 121 • No 5
Effect of Reversal of Neuromuscular
Blockade with Sugammadex versus Usual Care on Bleeding Risk in a Randomized
Study of Surgical Patients

Niels Rahe-Meyer, M.D., Ph.D., Hein Fennema, Ph.D., Sam Schulman, M.D., Ph.D., Walter Klimscha, M.D., Michael Przemeck, M.D., Manfred Blobner, M.D., Hinnerk Wulf, M.D., Marcel Speek, R.N., C.R.N.A., Christine McCrary Sisk, B.S., Debora Williams-Herman, M.D., Tiffany Woo, M.S., Armin Szegedi, M.D., Ph.D.

以前の研究でスガマデクス投与を行った健常ボランティアでPTおよびAPTTの延長が認められたため、術後出血や凝固変数でスガマデクスの影響を調べた。
スガマデクスは投与後1時間以内に限りPT、APTTの延長をもたらすが、そのことにより出血リスクは増加しない




2014年11月28日 担当 花山
CritCare Med. 2014 Nov;42(11):702-15.
Higher levels of spontaneous
breathing reduce lung injury
in experimental moderate acute
respiratory distress syndrome*.

CarvalhoNC1, GüldnerA, Beda A, RentzschI, UhligC, DittrichS, SpiethPM, WiedemannB, Kasper M, Koch T, Richter T, 
Rocco PR, Pelosi P, de AbreuMG.

ブタのARDSモデルでは、持続的な強制換気と比較し、分時換気量の30%以上という、通常臨床診療でみられるよりも高いレベルで二相性陽圧換気/APRV使用下の自発呼吸をさせることで肺障害が減少し、呼吸機能を改善させた。



2014年11月26日 担当 箱﨑
JAMA Intern Med. 2014 Nov 1;174(11):1746-54.
Association between arterial catheter use and hospital mortality in intensive care units.
Gershengorn HB et al. 

Importance: AラインはICUにおいてよく使用される。臨床上の有用性、その使用による有害事象については臨床研究で未だ明らかにされていない。
Objective:ICU患者の動脈カテ使用と院内死亡率に関連があるかを明らかにする。
Design, Setting, and Participants: 2001-2008のProject IMPACT内のデータの傾向マッチコホート。USの139のICUが含まれた。参加者は18歳以上のICU患者とした。
Exposure : 動脈カテの使用。
Mail outcome and measures: メインアウトカムは院内死亡率。人工呼吸を必要とした患者の1次コホートと、9つの2次コホートを行った。まず傾向スコアマッチングをおこなった。



2014年11月26日 担当 大石
Anesthesiology. 2014 Nov; 121(5):959-68
Effects of neostigmine reversal of nondepolarizing neuromuscular blocking agents on postoperative respiratory outcomes: a prospective study.
Sasaki N, Meyer MJ, Malviya SA, et al.

ネオスチグミンによる筋弛緩の拮抗は、酸素化には影響がなかったが、無気肺の増加と関係していた。高用量のネオスチグミンを投与した場合、または筋弛緩モニターを使用せずにネオスチグミンを投与した場合、術後の呼吸器合併症に注意が必要である。



2014年11月25日 担当 最上
J Intensive Care Med. 2014 Jun 12
Cardiovascular Effects of Continuous Dexmedetomidine Infusion Without a
Loading Dose in the Pediatric Intensive Care Unit.

Cummings BM , Cowl AS , Yager PH , Saleeby CM , Shank ES , Noviski N

小児集中理療におけるデクスメデトミジン(Dex)の使用における、血行動態の影響に関する前向き研究を行った。
重篤な小児17人に初期負荷用量なしで最大24時間のDex 0.7μg/kg/時で持続注入を行った場合、HRとBPに対し許容効果を持っていた。




2014年11月18日 担当 大野
Anesth Analg. 2014 Nov;119(5):1150-7 
Measured versus predicted blood propofol concentrations in children during scoliosis surgery.
Panchatsharam S1, Callaghan M, Day R, Sury MR.

側弯症の手術を受ける小児20人(9~17歳、26.5~95kg)で、麻酔維持の間のプ
ロポフォールの、真の血中濃度とTCIの予測血中濃度との差を調べた。154の血液
サンプルで、差の平均は1.5μg/ml、性能誤差の中央値は39.8%、絶対性能誤差の
中央値は39.8%だった。
プロポフォールTCIモデルは、小児の側弯症の手術で、あまり性能がよくないよ
うだった。




2014年11月18日 担当 大野
Anesth Analg. 2014 Nov;119(5):1150-7 
Measured versus predicted blood propofol concentrations in children during scoliosis surgery.
Panchatsharam S1, Callaghan M, Day R, Sury MR.

側弯症の手術を受ける小児20人(9~17歳、26.5~95kg)で、麻酔維持の間のプ
ロポフォールの、真の血中濃度とTCIの予測血中濃度との差を調べた。154の血液
サンプルで、差の平均は1.5μg/ml、性能誤差の中央値は39.8%、絶対性能誤差の
中央値は39.8%だった。
プロポフォールTCIモデルは、小児の側弯症の手術で、あまり性能がよくないよ
うだった。




2014年11月7日 担当 花山
J Intensive Care Med.2014 Jul 2
Incidence of Mechanical Complications of Central Venous Catheterization Using Landmark
Technique: Do Not Try More Than 3 Times.

CalvacheJA1, Rodríguez
MV2, TrochezA3, KlimekM4, StolkerRJ4, LesaffreE5
中心静脈カテーテル挿入時の合併症の発生率は穿刺回数に依存し、3回以上では確実に危険性が高まる。適切な監視のもと、超音波を用いて穿刺することで、合併症は大幅に減るであろう。



2014年11月6日 担当 箱﨑
J Intensive Care Med. 2014 Apr 24.
Daytime Versus Nighttime Extubations: A Comparison of Reintubation, Length of Stay, and Mortality.
Tischenkel BR et al. 
ICUでの夜間抜管は日中と比較し、再挿管、滞在時間、死亡率が高いわけではなかった。呼吸器関連合併症を減らすために抜管基準に合致した時点で抜管するべきであり、今回の結果は日中まで抜管時期を延長することを推奨しない。



2014年11月5日 担当 最上
J Intensive Care Med. 2014 Sep 15
Chronic Statin Use and Long-Term Rates of Sepsis: A Population-Based
Cohort Study.

Wang HE, Griffin R, Shapiro NI, Howard G, Safford MM
スタチン常用と敗血症イベントの長期発生率との関連性を、REGARDSコホートから45歳以上の成人30 183人のデータを抽出し調べたところ、
患者特性・保健行動・内科的疾患・服薬アドヒアランス、hsCRP異常値などで多変量調整した後の敗血症発生率とは関連していなかった。




2014年10月15日 担当 箱﨑
Critical Care 2014, 18:503
Sepsis-associated hyperlactatemia
Mercedes Garcia-Alvarez, et al.

敗血症、敗血症性ショックと高乳酸血症(sepsis-associated hyperlactatemia[SAHL])の関連には多くのevidenceがある。SAHLは重症度の強い独立予測因子であり、その存在や進行は、臨床医にとって高リスク群と認識させる。最近まで、SAHLは組織低酸素のマーカーであると広く認識されてきた。したがって、SAHLは“酸素負債”や“低還流”の存在が嫌気性代謝を介して乳酸産生を増加させることと認識されていた。SAHLのこのような解釈を基に、酸素供給量を増加させるような治療が行われてきた。さらに、乳酸値は蘇生の妥当性、敗血症初期治療への反応性を評価する方法としても用いられている。しかし、多くのエビデンスがこれに異を唱えてきている。近年多くのエビデンスがSAHLが組織低酸素、嫌気性解糖によるものだけではないという意見を唱えている。動物実験や、ヒトの研究でSAHLはストレス反応(アドレナリン刺激)による2次的な好気性解糖の増加の結果起きるという、より論理的な説明が多くなっている。さらに重要なことは、新しい研究は、SAHLが実際に乳酸の酸化作用を増加させることで生体エネルギー効率を促進するために役立つことを示唆している。この意味では、乳酸産生の意義は、疾患の重症度が上がるにつれ増加する生存反応の適応といった事象を説明しうる。臨床医は生物学的原則に基づいて治療を行い、現在の知見に基づいて患者を管理し、敗血症治療における乳酸値の意義を理解して治療を行うべきである。



2014年10月14日 担当 最上
Crit Care Med.2014 Aug;42(8):1766-74
Obesity and 1-year outcomes in older Americans with severe sepsis
Prescott HC1, Chang VW, O'Brien JM Jr, Langa KM, Iwashyna TJ

重症敗血症後の機能的転帰について、BMIによって異なるかどうかを調査したところ、
肥満は重症敗血症患者の間の改良死亡率と関連していたが、長期生存のために肥満の敗血症生存者はより多くのヘルスケアを使用するため、入院翌年のメディケアの支出はより高くなった。




2014年10月 担当 大石
JAMA. 2014; 311(13):1317-1326
Health Care-Associated After Red Blood Cell Transfusion 
A Systematic Review and Meta-analysis
Jeffery M. Rohde, Derek E. Dimcheff, Mary A. M. arogers, et al. 

輸血制限群と通常群で合併症の発生頻度を比較した。赤血球輸血の制限は、感染症の減少と関係していた。