抄読会2014年度 season 2

2014年9月25日 担当 大野
Anesth Analg. 2014 Oct;119(4):875-9
Optimal Nasopharyngeal Temperature Probe Placement .
Lee J, Lim H, Son KG, KoS
ICAへの鼻咽頭粘膜の最も近い部分は上咽頭または中咽頭にあるので、深部温度
モニターのプローブはだいたい鼻孔から10cmの深さに入れるとよさそうだ。盲目
的に留置された鼻咽頭温度プローブで最適な場所だったのは半分以下だった。



2014年9月18日 担当 佐藤(友)
Anesthesiology 2014; 121:469-81
Early Effect of Tidal Volume on Lung Injury Biomarkers in Surgical Patients with Healthy Lungs.
Ph.D., Jelena Klawitter, Ph.D., John E. Repine, M.D., Amanda Agazio, B.A., Allison J. Janocha, B.S.E., Chirag Shah, B.A., Marc Moss, M.D., Ivor S. Douglas, M.D., F.R.C.P. (U.K.), Zung Vu Tran, Ph.D., Serpil C. Erzurum, M.D., Uwe Christians, M.D., Ph.D., Tamas Seres, M.D.

健常な肺で肺合併症のリスクの低い患者において、一回換気量の変化と肺障害のバイオマーカーを調べたところ、60分間の機械換気後、換気量の違いで肺障害のバイオマーカーに違いは認められなかった。その一方で、血清の好中球エラスターゼおよびClara
Cell protein 16は無気肺や肺のコンプライアンスの指標になる可能性がある 。



2014年9月17日 担当 箱﨑
JAMA. 2014;312(1):36-47. 
Effect of Erythropoietin and Transfusion Threshold on Neurological Recovery After Traumatic Brain InjuryA Randomized Clinical Trial
Claudia S. Robertson, MD et al. 

重症頭部外傷患者ではエリスロポエチン、10 g/d以上に輸血閾値を保つことは、受傷6か月の神経学的予後を改善しなかった。輸血閾値10 g/dl以上は有害事象の発生と関連していた。今回の知見は今回の治療は有用でないことを示している。



2014年9月3日 担当 大野
Br J Anaesth. 2014 Sep;113(3):391-401
Relationship between early postoperative Creactive protein elevation and long-term postoperative major adverse cardiovascular and cerebral events in patients undergoing off-pump coronary artery bypass graft surgery:a retrospective study.
Min JJ, Nam K,Kim TK

OPCAB患者における長期の術後の心血管・脳イベントと術後のCRP上昇は関連して
いた。 これは、術後のスタチン薬によって緩和された。 また、術後のCRP上昇
は、低灌流と炎症を反映している術中のパラメータに関連していた。



2014年9月1日 担当 箱﨑
Circulation. 2014 Dec 9;130(24):2215-45
2014 ACC/AHA Guideline on Perioperative Cardiovascular Evaluation and Management of Patients Undergoing Noncardiac Surgery: Executive Summary: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines.
MFleisher LA, Fleischmann KE, Auerbach AD, Barnason SA, Beckman JA, Bozkurt B, Davila-Roman VG, Gerhard-Herman MD, Holly TA, Kane GC, Marine JE, Nelson MT, Spencer CC, Thompson A, Ting HH, Uretsky BF, Wijeysundera DN.

このガイドラインは多くの臨床経験、観察研究から導き出され、RCTは少ない。さらなるRCTが望まれる。新しい心血管評価デバイスが開発されているが、その有用性はまだ不確定であり、今後の研究をまちたい。周術期のbeta遮断薬は未だcontraversialである。1)待機手術前の最適なbeta遮断薬開始時期、2)血行動態が不安定にならない適量とタイトレーション、3)beta遮断薬を周術期に開始するべき患者群。これらを明らかにするRCTが必要だ。バイオマーカーの研究も進んでいる。しかし、その結果に対するマネージメントのあり方、予後改善効果は不明で現在研究が進行中である。今後それらの結果から推奨が変わるかもしれない。このガイドランを有効にするためには周術期チームアプローチが必要だ。周術期チームは患者の指向、価値観を含め、リスク、ベネフィットと、代替手段に関する議論を活発に行うべきだ。方針決定に係る周術期のリスクの把握にどのような情報が有用かの研究も必要である。




2014年9月 担当 大石
Anesthesiology, 2014; 121:482-91
Predictors of Functional Outcome after Intraoperative Cardiac Arrest.

周術期に起きた停止後にICUに入室した患者を対象として、90日後の脳機能とその決定因子調査した。周術期心停止のあと90日後の脳機能は、45%で良好であった。予後を予想する主なもの、周術期の心停止や心停止後症候群と直接関係していた。これらは、心停止後のICUでの治療が、予後の改善に関係していることを示している。




     
2014年8月 担当 大石
Anesthesiology 2014; 121(2):260-71
Laryngoscope Force and Cervical Spine Motion during Intubation with Macintosh and Airtraq Laryngoscopes
Bradley J. Hindman, M.D., Mrandon G. Santoni, Ph.D., Michael M. Todd, M.D.

2つの喉頭鏡MacintoshAirtraqを使用し、力のかかりかたと頚椎の動きを比較した。喉頭鏡にかかる力と頸椎の運動が最大であったのは声門が一番よく見える時あり、MacintoshAirtraqの間も差があった(48.8±15.8 vs. 10.4±2.8 N (P = 0.0001)、後頭-C5の角度29.5±8.5 vs. 19.1±8.7(P = 0.0023)。
喉頭にかかると頸運動の動きの関係は 比例しなかった。
気管挿管の頸椎の動きは、かかる力に比例しなかったやさしく挿管しても、頸椎の動きを抑えるとは限らない



2014年8月27日 担当 佐藤(友)
Anesthesiology. 2014 Aug;121(2):352-61.
Intraperitoneal local anesthetics have predominant local analgesic effect: a randomized, double-blind study.
M.D., Ph.D., Anders Magnuson, B.Sc., Kjell Axelsson, M.D., Ph.D., Anil Gupta, F.R.C.A., M.D., Ph.D.

腹腔内への局所麻酔薬注入による鎮痛では、局所麻酔薬の効果は、中枢を介してよりもむしろ腹腔内のレセプターを介して、または抗炎症作用によるものの方が強いことが確認された。



2014年8月21日 担当 最上
Intensive Care Med. 2014 Jul;40(7):927-34
ILong-term outcomes in patients with severe sepsis randomised to resuscitation with hydroxyethyl starch 130/0.42 or Ringer's acetate.
Perner A1, Haase N, Winkel P, Guttormsen AB, Tenhunen J, Klemenzson
G, Müller RG, Aneman A, Wetterslev J.
ICUでヒドロキシエチルデンプン(HES)またはリンゲルエチルで蘇生された重症敗血症患者の長期死亡率を評価した。
6か月後の死亡率はHes VS Ringerで53.3%(212/398) VS 47.5%(190/400) P = 0.10、1年後死亡率は56%(223/398) VS 51.5%(206/400)P = 0.20、最長フォローアップ時の死亡率は、59.8%(398/238)VS 56.3%(225/400)P = 0.31。生存日数と1年後の退院率は24%(0-87日)VS 63%(0-90日) p=0.07 となり、長期的な死亡率はHES・Ringer投与で差は認められなかった。



2014年8月20日  担当 細野
Intensive Care Med. 2014 Jan;40(1):23-31
Impact of improvement in preoperative oral health on nosocomial pneumonia in a group of cardiac surgery patients: a single arm prospective intervention study.
Bergan EH1, Tura BR, Lamas CC.
心臓手術を受ける患者において、単純かつ効果的な口腔ケアのプロトコールを導入することにより術後肺炎の発生率を減少させうる。



2014年8月8日 担当 大野
A&A 2014  Aug;119(2):268-75
Nicotine for Postoperative Analgesia : A Systematic Review and Meta-Analysis
Mishriky BM, Habib AS
周術期のニコチンの使用で鎮痛薬の使用量、ペインスコアに差が出るのではない
かと考えて研究したが、鎮痛目的にニコチンを使うのはこの研究結果からは支持
できない、という結論になった。



2014年8月1日 担当 佐藤(友)
PhDClin J Pain 2014;30:663–671
SSelf-Regulation (Recovery) From Pain Association Between Time-based Measures
of Infant Pain Behavior and Prenatal Exposure to MaternalDepression and Anxiety

XFay F. Warnock, PhD, Kenneth D., Craig, PhD, Roger Bakeman, PhD,z
新生児の痛み刺激に対する反応とそこからの回復を知るためには、さまざまな反応を経時的に見ていく必要がある。出生前に母親がうつ病または不安への暴露を受けていた新生児は、痛み刺激からの回復能力が低下する可能性がある。




2014年7月30日 担当 箱﨑
Anesthesiology. 2014 Jun;120(6):1441-9.
Spontaneous breathing with biphasic positive airway pressure attenuates lung injury in hydrochloric acid-induced acute respiratory distress syndrome.
Xia J. et al. 

ARDS患者に対するBIPAP中の自発呼吸はCMVと比較し換気を改善させることが知られている。塩酸によるARDSモデルにおいて、BIPAP + 自発呼吸はlow tidai volumeでの調節呼吸と比較し、肺障害を軽減し、呼吸機能を改善させる。



2014年7月29日 担当 大石
Anesthesiology. 2014 Jun;121(1):127-39.
Proteinase-activated Receptor 1 Contributed to Up-regulation of Enkephalin in Keratinocytes of Patients with Obstructive Jaundice.
Tao KM, Tao Y, Chen CY, et al.      

黄疸の患者ではプロテアーゼ活性化型受容-1の活性化によりエンケファリンの合成が誘導されていた。電気疼痛域値は、黄疸群でコントロール群より有意に高くなり、術後48hのモルヒネ必要量は少なかった。

(◎_◎)そうだったのですね。いままで気づきませんでした。



2014年7月23日 担当 細野
Crit Care Med. 2014 Jul;42(7):1703-13
Chlorhexidine-impregnated dressing for prevention of catheter-related bloodstream infection: a meta-analysis.
BSafdar N, O'Horo JC, Ghufran A, Bearden A, Didier ME, Chateau D, Maki DG.

クロルヘキシジンによる抗菌ドレッシング材はカテーテル感染の予防に対して有効であり、感染のリスクが高い患者や動脈カテーテルの使用において日常的な使用が可能であることが示された。



2014年7月22日 担当 最上
Intensive Care Medicine 40.3: 412-21
ACerebral metabolic effects of exogenous lactate supplementation on the injured human brain
Bouzat P et al.

脳外傷患者ではグルコースの代わりに乳酸が脳好気代謝に利用された。
乳酸投与が脳のグルタミン酸およびICP低下させることも考慮すると、脳代謝と脳循環に対して高張乳酸塩は有用かもしれない。



2014年7月17日 担当 大野
Anesthesia & Analgesia: 2014 Jul;119(1):203-6
Abdominal Girth, Vertebral Column Length, and Spread of Spinal Anesthesia in 30 Minutes after Plain Bupivacaine 5 mg/mL
Zhou QH, Xiao WP, Shen YY

脊髄くも膜下麻酔の広がりは、年齢、体重、身長とは関係がなかったが、腹囲と脊柱の長さとは相関があった。



2014年7月16日 担当 佐藤(俊)
Br J Anaesth.2014 Jul;113(1):122-9.
Pre-procedure ultrasound increases the success and safety of central venous catheterization
Schummer W,Koditz JA,Schelenz C,Reinhart K,Sakka SG

IJVカテにおける穿刺前エコー法はLM法よりもより安全で要する時間も短い。





2014年7月15日 担当 今泉
Br J Anaesth. 2014 Jul;113(1):75-82
EuroSCORE II and N-terminal pro-B-type natriuretic peptide for risk evaluation: an observational longitudinal study in patients undergoing coronary artery bypass graft surgery.
ZHolm J, Vidlund M, Vanky F, Friberg O, Håkanson E, Walther S, Svedjeholm R.

EuroSCOREⅡと術前 NT-proBNP を組み合わせると、ACS に際しての単独の CABG 後の高度循環不全に関連したリスク予測を改善するようである。NT-proBNP は EuroSCOREⅡによる中間リスクのある患者に、特に有用である可能性がある 。







2014年7月11日 担当 箱﨑
Anesthesiology. 2014 July;121:98-114.
Obesity-induced Hyperleptinemia Improves Survival and Immune Response in a Murine Model of Sepsis
Siegl D, et al. 

肥満は増加しつつある健康問題で、免疫機能不全と関連する。敗血症は感染を契機に発症する全身性炎症症候群と定義される。過剰な炎症は免疫機能不全と相まって多臓器損傷や死につながる可能性がある。今回Class 1 obesity(BMI 30-34.9)の、免疫機能と敗血症のアウトカムに与える影響と、免疫応答におけるレプチンの影響について検討した。class 1 obesityでの高レプチン血、またはレプチン投与は敗血症からの保護効果を持つ。レプチンは敗血症における免疫系の制御機構に関与する可能性があり、低レプチンの治療は敗血症治療の新たな手段と成りうる。


2014年7月10日 担当 佐藤(友)
Anesthesiology 2014; 120:1400-13
Direct Negative Chronotropic Action of Desflurane on Sinoatrial Node Pacemaker Activity in the Guinea Pig Heart
CAkiko Kojima, M.D., Ph.D., Yuki Ito, M.D., Hirotoshi Kitagawa, M.D.,Ph.D., Hiroshi Matsuura, M.D., Ph.D., Shuichi Nosaka, M.D., Ph.D.

デスフルランは複数のイオン電流に対する阻害作用を持ち、これにより洞房結節のペースメーカー活性に対して抑制作用を有する。
洞房結節に対するデスフルランの抑制作用は生体内ではデスフルランの吸入に関連する交感神経の活性化によって相殺されている可能性がある。       






2014年7月8日 担当 大石
Anesthesiology, 2014 June; 120(6) : 1319-32
Comparative Analysis of Outcome Measures Used in Examining Neurodevelopmental Effects of Early Childhood Anesthesia Exposure.
Caleb H. M.D., M.S.; DiMaggio, Charles J. Ph.D., et al.

3歳以下の時に麻酔をかけられたことが、10歳時の神経心理学的テスト (Raven‘s Colored Progressive Matrices)、International Classification of Disease, ICD-9-CM、学校の成績にどう影響するのか調べた。非暴露群と比較して、暴露群は神経心理的テストでリスクの増加がみられた。ICD-9-CMでも言語と認識の障害のリスクが高かった。学校の成績に差はなかった。




2014年7月1日 担当 最上
Anaesthesia. 2014 Jun 4; doi: 10.1111/anae.12754
The intubation scoop (i-scoop) – a new type of laryngoscope for difficult and normal airways
Raymondos K1, Seidel T, Sander B, Gerdes A, Goetz F, Helmstädter V,Panning B, Dieck T

i-scoopという道具で挿管シミュレーションを行ったところ、i-scoopは困難気道で良好な視野を得て挿管することができ、他の12種類の喉頭鏡 vs i-scoopの成功率 で有意差が得られた(p <0.001)。さらに、i-scoopでの正常気道の挿管は、Macintosh喉頭鏡よりも迅速であった。(p <0.02)
I-scoopは困難気道と正常気道の両方に対し、現在使用されているデバイスの簡単で安全な代替としての可能性を有している。