抄読会2015年度 season4


2016年3月18日 担当 吉田
Anesth Analg 2015;121:1157-64.
Intravenous Delta-9-Tetrahydrocannabinol to Prevent Postoperative Nausea and Vomiting: A Randomized Controlled Trial.
Maren K, Robert G, Rudolf B, et al. 

PONVハイリスクの症例において、PONV予防のために手術終了から麻酔覚醒の間にTHCを投与することは、制吐作用が不確実でかつ受け入れがたい副作用があり、推奨することはできない。





2016年3月16日 担当 最上
Anesth Analg. 2015 Nov;121(5):1209-14.
A New Approach to Pathogen Containment in the Operating Room: Sheathing the Laryngoscope After Intubation.
Birnbach DJ1, Rosen LF, Fitzpatrick M, Carling P, Arheart KL, Munoz-Price LS.

麻酔導入後の喉頭鏡ハンドルやブレードによる汚染リスクを除去することによって、静脈ラインハブ・麻酔作業エリア・患者の汚染を減少させることができるかどうかを調べた。

45人の麻酔科レジデント(卒後2-4年)がマネキンを使用したシミュレーションで麻酔導入~気管挿管を行った。15人はコントロールで手袋1枚で挿管し、さらに15人で二重の手袋を使用し、挿管確認後外側の手袋を外して捨て、15人は、二重の手袋を着用し、挿管後に外側の手袋をはずして喉頭鏡をシースした。
シナリオの開始前に、マネキンの唇や口の内側を蛍光マーキングゲルでコーティングし、セッションが終了後、紫外線を利用して手術室の25の場所(患者サイドで7か所、麻酔科サイドで18か所)で蛍光色素の確認を行った。

患者側の7箇所での紫外光検出は、シングルグローブ5.7(95%CI、4.4-7.2)、二重手袋破棄2.1(1.5-3.1)、二重手袋をシース使用0.4(0.2-1.0)となった(P<0.001)

麻酔科側18箇所での紫外光検出は、シングルグローブ13.2(95%CI、11.3-15.6)、二重手袋破棄3.5(2.6-4.7)、二重手袋シース利用0.5(0.2-1.0)と有意に減少した。(P<0.001)







2016年3月9日 担当 中野
Anesthesiology March 2016, Vol.124, 683-695.
IV and Perineural Dexmedetomidine Similarly Prolong the Duration of Analgesia after Interscalene Brachial Plexus Block: A Randomized, Three-arm, Triple-masked, Placebo-controlled Trial.
Abdallah FW1, Dwyer T, Chan VW, Niazi AU, Ogilvie-Harris DJ, Oldfield S, Patel R, Oh J, Brull R.

神経周囲、経静脈投与ともデクスメデトミジンは効果的に腕神経叢ブロック(斜角筋間法)の鎮痛効果を延長し、麻薬使用量を減少させ、運動神経の麻痺を延長しなかった。


2016年2月26日 担当 吉田
Br. J. Anaesth. 2015 ;115:590-4.
Effect of acute cigarette smoking on gastric contents in regular smoker volunteers. A prospective randomized cross-over study.
S. Lazzer, E. Boselli, D. chassard, et al.

本研究を行った時間では、手術直前の喫煙は胃前庭部の容積変化と関与しなかった。健康な喫煙者においては、手術直前の喫煙は、誤嚥のリスクに影響しない可能性がある。



2016年2月24日 担当 最上
Anesth. 2015 Oct;121(4):861-7.
Intraoperative Magnesium Administration Does Not Reduce Postoperative atrial Fibrillation After Cardiac Surgery..
Klinger RY1, Thunberg CA, White WD, Fontes M, Waldron NH, Piccini JP, Hughes GC, Podgoreanu MV, Stafford-Smith M, Newman MF, Mathew JP.
 
低マグネシウム血症は、術後の心房細動(PO​​AF)のリスク増加と関連していと言われている。認知に対するマグネシウムの効果を評価した心臓手術患者の
前向き試験データを使用して、検証した。

Mg群は麻酔導入後にMgを50mg / kgのボーラス投与し、その後50mg /kgを3時間かけて持続投与した。(総投与量100mg/ kg)363人の患者が対象となり(プラセボ177人、Mg群186)、新規発症POAFの発生率はMg群で42.5%(95CI:35-50%)、プラセボ群37.9%(95%CI、31-45%)となった。
絶対リスク差は4.3%、95%CIは-5.5~14.7%であった。
POAF発症までの時間も2群間で同一であり、AFリスク調整後も、ロジスティック回帰分析でMgの有意な影響は見つからなかった。
術中の高用量Mg療法は、心臓手術後の新規発症のPOAFの発生率を減少させなかった。

2016年1月28日 担当 吉田
Anesth Analg. 2015 ;121:410-421.

A System for Anesthesia Drug Administration Using Barcode Technology: The Codonics Safe Label System and Smart Anesthesia ManagerTM.
Jelacic S, Bowdle A, Nair BG, Kusulos D, Bower L, Togashi K.
 
麻酔薬バーコート化システムでは、薬剤投与時のバーコード読み込み率は中等度であった。今後このシステムに適応していくことで、より高い利用率を達成できるだろう。


2016年1月21日 担当 中野
Anesthesiology Issue: Volume 124(1), January 2016, p 35–44.

Association between Intraoperative Hypotension and Myocardial Injury after Vascular Surgery.
van Waes, Judith A. R. M.D.; van Klei, Wilton A. M.D., Ph.D.; Wijeysundera, Duminda N. M.D., Ph.D.; van Wolfswinkel, Leo M.D.,
Ph.D.; Lindsay, Thomas F. M.D., Ph.D.; Beattie, W. Scott M.D., Ph.D
.

 
高齢で血管手術を行う患者では、麻酔導入前の40%低下した状態が、累計30分を超えるIOHは術後の心筋障害と関連する


2016年1月7日 担当 最上
Br J Anaesth. 2015 Nov;115(5):716-26.

Intraoperative arterial blood pressure lability is associated with improved 30 day survival.
Levin MA, Fischer GW, Lin HM, McCormick PJ, Krol M, Reich DL.
 
高血圧患者はより動脈血圧の不安定性を有し、それにより30日死亡率が増加すると仮説を立て、レトロスペクティブ単一施設研究を行った。
導出コホートの動脈圧の変化率の絶対値が10%以上となった回数を記録。中央値は、1患者あたり9回(5-14)となり、高血圧被験者10(5-15)、
正常血圧患者8(5-12)と、より不安定性を示した。(P <0.0001)降圧薬の非服用は、不安定性が30日死亡率の減少と関連し、オッズ比(OR)
0.95[95%CI:0.92-0.97](P <0.0001)となった。この結果は、検証コホートでも同様であることが確認された。

術中動脈血圧不安定性は、高血圧患者でより頻繁に発生するが、我々の考えに反して、不安定性の増加は30日の死亡率を減少さていた。



2016年1月6日 担当 吉田
Anesth Analg. 2015 ;121:1215-21.

The Impact of Anesthetic  Management on Surgical Site Infections in Patients Undergoing Total Knee or Total Hip Arthroplasty.
Sandra L., Elie F., Douglas R., et al.
 
大規模なデータベースを用いた最近の研究では、人工関節置換術において、脊髄くも膜下/硬膜外麻酔の方が、全身麻酔と比べてSSIが少ないと結論づけている。今回の後方視的な症例対象研究では、SSIと麻酔法による差は認めなかった。我々は、脊髄くも膜下/硬膜外麻酔はSSI発生に影響しないと結論付けた。下肢の人工関節置換術では、現在の喫煙とBMI高値がSSIに関係することが判明した。